2003阿蘇オープンエンデューロレポート

 今年の阿蘇オープンエンデューロは1月12日である。バイクはいつものTT250R、タイヤは前後とも新品のS12です。いつもなら11日の昼前には出発して夕方には現地に到着し、宴会を楽しむところなのですが・・・。

今年は11日にどうしても外せない友人の結婚式があって、披露宴に出たあとの出発になりました。

 今回、鬼岳オフロードRCのメンバーは船長っとhirockの二人。彼は今回がデビュー戦となったのです。よりによってAOEをデビューに選ぶとは・・・気合いが入っています。

 披露宴を終えて帰宅するとhirockがすでに来ていました。軽い食事をとってバイクと荷物の積み込みを終えて出発したのは18:45。いつもの軽トラアクティー君にTT250Rとランツァの二台を積んで、インプレッサにほかの道具を積み込み2台で出発。 がんばれ!アクティートラック!

 長崎市内でガソリンを入れているときに船長っが「参加受理書」を忘れてきたことに気づいて軽トラを運転するhirockを先に行かせて取りに戻りました。なんだか、さい先の悪いスタートです。

 金立SAで待ち合わせをしていたのですが、手前で追いつきました。金立で運転を交代して再出発。それにしても、この軽トラで高速道路は厳しいです・・・。

 今回は心配事がありました。それは、去年と違って寒いんです。会場は標高700m。道路が完全に凍結してしまうと、レース以前に会場に到達できない恐れがあります。一応、軽トラのチェーンは用意していますが、なるべくなら使いたくないですし。もう少しで御船インターと言うところで、げんさんから電話。「凍ってるよ!!」だそうです。マジですか????おまけに「寒すぎてビールが飲めない」だそうです。

 結局現地到着は12:00ごろでした。道路は一部凍結状態でしたが乾いている部分がほとんどだったので助かりました。早々に夕食をすませて、熱燗を飲んで寝ることに。 寒い食事風景
シートに付いた霜が冷たそう・・  hirockの服装を見ると・・・寒そうでした。かれは夜中に何度か起きたそうです。外の気温は間違いなく氷点下。こぼした水が凍り付くような気温です、雪も残っているし・・。船長っは「釣り用防寒着」+「シュラフ×2」だったので、実は全く寒くなく、快適に寝ることができたのです。ごめんねhirock、来年は防寒対策もやりましょう。

 当日の朝はhirockがすでに起きている。私はトイレに行きたいけど、もうちょっと寝ようかどうかと迷っていたら、目覚ましが鳴りました。6:30です。朝飯のカップラーメンを食べて準備O.K。当然、うん○もばっちり出ました。

 スタートは船長っが6列目、hirockは7列目でした。船長っにとって、新人のhirockが後ろから来るのはちょっとプレッシャーでした。普段のお気楽な走りができない。こんな船長っでも、「無様な姿」は後輩には見られたくないのです。

 一列目がスタートした瞬間、その景色に心を奪われました。この寒さでコースには至る所に「霜柱」ができていて、バイクの後輪が巻き上げたその霜柱が太陽の光に輝きながら空中を舞っているのです。ちょっと見とれてしまいましたがしかし、いつまでも見とれている場合ではないのです。

 スタートは無難にこなしました。去年のGFEDとは違って今回はキャブのパッキン関係を全部交換してあります。燃料ホースも新品。燃料漏れやオーバーフローなんて絶対にない!!のです。従って、「第2コーナーで止まる」なんてこともないのです。やっぱり、整備はするものだよと自分で自分に納得しながら先へ進みます。しかし・・練習不足と最近の重量増加(船長っの重さ)の影響か次第に腕が上がっていき、最初の川にたどり着く頃にはヘロヘロでした。しかも川にはいると、そこは大渋滞。前のバイクが掻き揚げる冷水を頭から浴びながら前へ進みます。あたりは熱いエンジンにかかった水が水蒸気となり、まるで「銭湯」状態。前が見えましぇーん! スタート前
 渋滞を理由に休憩していて、ふっと後ろを見ると・・なんと!hirockがいるではないかぁ!!「これはイカン!」と焦って前に進もうとしますが、バテバテの腕はクラッチ・ブレーキはおろかハンドルを掴むこともできないのです。そんな状態で前進しようとすると・・・当然コケます。この時期、川の中に完全に浸かってしまうとシャレにならないので、つりそうな足でがんばって体とバイクを支えるのです。しかし無情にもその足は地面にたどり着くことなく水中を泳いだりするのです。なんとか上半身は免れましたが、ブーツの中には冷たい川の水が・・・。 ちょっと焦って・・・

 渋滞+バテバテでただでさえロスしているところに何やらバイクをいじっているライダーが・・・通りすがりの人に「工具もってません?」とたずねています。聞かれ人は首を横に振っているその隣に到着してしまった船長っ。「まずい・・自分にも聞いてくるかも・・」と思った瞬間・・聞いてきました。「工具あります?」と聞かれた船長っ、0.5秒ほど「良い船長っ」と「悪い船長っ」が激烈な戦いを繰り広げます。

 悪い船長っ:「もってないと言え、1周が長いレースで自分の工具をもっていない方悪いんだ」

 良い船長っ:「おまえはいつも車載工具だけは持って走っているじゃないか、困ったときはお互い様だ

         ろう?貸してやれよ!」

 悪い船長っ:「おまえ、人の心配する前に自分の心配をしたらどうだ?後ろにはhirockが来てるぞ!」

 良い船長っ:「その人の気持ちになって考えたらどうだ?一本の工具があるだけで、この先レースを楽し

         むことができるんだぞ?その工具がなかったらこのレースは早くも無念の終了、バイクの回

         収もきついと思わないか?」


 結局、「持ってない」と嘘を付くのは後ろめたい気がしたのでこの勝負「良い船長っ」の勝利となったのです。おまけに休憩もできたし

 コースは例によって「近道」と「迂回路」が用意されていました。1周目はなるべく近道を通らないようにしてコースを進みます。途中4〜5mはあろうかという壁のような「近道」がありました。登れそうな雰囲気なのですが、「落ちたら怪我しそう・・」とおもって迂回路選びました。

 

 しかし、そこに罠があったのです。迂回路の最後にぐちゃぐちゃの溝があるのです。前のライダーがはまっていたので、「こんなところにはまるのはいやだー」と思って別のラインを選んだのですが、簡単にはまってしまいまいした。1周目だというのにバテバテの船長っは休憩しないと自力でリカバリーできません。そこへ救世主が!前にはまっていたライダーとそれを助けていたライダーが船長っを救ってくれました。あのときフックを前輪にかけて引っ張ってくれた方、本当にありがとうございました。あなたは神様です!! 罠にハマった船長っ



 林道区間はアイスバーンが残っていてペースが上がりませんでした。おまけに川でぬれた部分が冷たくて冷たくて。トイレに行きたくなってしまいます。それにしても、途中追い抜いていくトップライダーたちは恐ろしく速かったです。雪をものともせず抜き去っていきます。「あんなに走ったら、寒かろうに」とそんな問題ではないことを思ってしまいます。

 1周目は無事(?)に終了。2周目に入ってシフトペダルの調子がおかしくなってきました。2速以降に入りにくくなってきて、いきなりニュートラル・・・はた目には「無駄にエンジンを吹かす暴走族」状態です。「エイっ!エイっ!」とかけ声をあげながらシフトチェンジ・・・そんなことに気合いを入れるなんて・・アホだ。

 2周目のコースは程良く「ぐちゃぐちゃ」コースにできた轍がまるで「波」の様だと思いながら、「舳先を波に当てると反動で行きたい方向に行くかな?」とやってみると、コケました。船じゃ無いちゅーの!

 阿蘇の黒土は融けた霜柱の水分でチュルチュルになってきていました。1周目に上れた坂が上れません。ここで後輪の空気圧を下げます。ちょっと走りやすくなります。川もさすがに渋滞はなくスムーズに通過。(でもコケました)その後、林道区間に入る前でげんさんがラップしていきました。「よし、ちょいと付いていってみよう」と思って止めときゃ良いのに、一生懸命付いていきました。でも・・・凍結しているところですっころんでしまいました。船長っの後ろから来た人も二人続けてすっころんでましたが、それは船長っのせいです、ごめんなさい。このうちのひとりは「笑う闘魂ライダー」でした。本当にごめんなさい。

 しばらく進むと10台ほど止まっているところが。どうやら3本の轍が深すぎて前進できない様子です。その中にはhirockもいます。チーム昭和寮のキリンさん?他もここで止まっていました。何人もが失敗する中、それでも行ける人はそこを通過していくので、「行けるかも?」と思っていってみたら駄目でした。そのまま列車のように轍のレールに沿って下ります、バックで

 すると、新たなルートを開拓しようと全然別のルートにアタックするライダーが出てきました。とうとう新しいルートで通過する人が出てきたので、よし自分もと1回目のアタック。最初の段差で失敗して斜面の樹木を軸にして一回転してしまいました。hirockよ、こういうことにならないようにしっかりラインをトレースするんだぞ!2回目のアタックも、途中でバイクから体が離れてしまい失敗かと思われましたが、そこはおきまりの「バイク放り投げ」でなんとか上がることができました。

 その後も手を貸したり借りたりしながらなんとか2周目が終了。ピットに入ります。シフトレバーを修正しようとしたのですが、見た目にあまりおかしくないのですね・・・これが。修正しようがないのでそのまま。バテていたので、「3周目どうしようかなぁ?」と思っていると、周りの人に「まだ時間あるよ!」と言われて再スタート。多分12時半頃だったと思うので、終了までぎりぎりのタイミングでした。(と言うか、船長っの腕では無理だと思った)

 3周目はちんたら走るわけには行きません。少し多めにキャメルバックに入れておいたポカリスエットをゴクゴクとこれまた多めに飲みながらスタート。この周はちょっと急いでみます。さっきまでのペースで行くと絶対に間に合いません。なるべく近道を選択しながら走ります。(でも、川の前の下りは行きませんでした)

 大きな方の川に入る前に、なんだかもよおしてきました。「トイレ(小)に行きたい」船長っの本能が叫びます。しかし理性の方は「いや、速くゴールすれば良いことじゃないか」と反論したためそのままレース続行。川に入るとと堅い石ころの振動がもろに伝わってきます。「これはタマラン!!」と言うことで停車。コース脇で用を足すことに。するとそこにげんさんがやって来て「どうかした?(トラブル?)」とわざわざ止まって聞いてくれました。わざわざ止まってまで・・・申し訳ない気持ちで「・・小○」と小さく言うと安心した(?)かのように去っていきました。

 1周目にはまった溝も今回はパス、近道の壁にアタックします。頂上の先が分からなかったので、控えめに進入したら、見事に失速してしまいました。バイクは頂上付近に引っかかって、自分だけ下まで転げ落ちてしまいました。運良くバイクは上なので「上から引きずりあげよう!」と思ったら、人間がこの斜面を登れません。仕方ないので左の方の低いところから上りました。ちょっと離れたところに車を止めてこちらを見ているスタッフ(?)の視線が恥ずかしかったです。バイクにたどり着いてみると、どうにも引き上げられそうになかったので仕方なくバイクと一緒に斜面を落ちて再チャレンジ。今度は上の状態も偵察(?)済みなので勢いよく行ってクリアー。

 その後も気持ちは超高速で(実車は低速+αで)ゴールを目指します。時計を見ると「もう2時じゃん!!」

あと少しのような気がするのですが、はっきりコースを覚えていないのであとどのくらいあるかがよく分からない。スタート時刻が若干遅れていたので「ゴールの締め切りも遅れるはず」と思いながら走っていたらなんとかゴールにたどり着きました。2時過ぎでした。

 時間いっぱい走ってなんとか3周。低レベルな目標はなんとかクリアーしたのでした。

 途中、コースで寝ている人を見ました。私のあとからゴール(周回数はそっちが多いんですよ、当然)した「笑う闘魂ライダー」によると「なんか倒れている人が運ばれていた」と言うのです。”寝ている”と思った人は実は倒れた主催者の方で、あとから聞いた話によるとインフルエンザにかかっていたと言うことでした。レースの前から発病していて点滴を打ったりしながらのAOEだったようです。

 そんな体でこんなに素晴らしいAOEを主催されていたんですね。頭が下がる思いです。

今年も本当に楽しいレースでした。本田さん、ありがとうございました。

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